自己破産したら家賃滞納分は原則免責になる?強制退去の可能性も解説

「家賃滞納があると自己破産できない?」

「家賃滞納がある状態で自己破産したら、今の家はどうなる?」

家賃の支払いが遅れており、今後の生活について上記のような不安を感じている方も多いのではないでしょうか。

家賃滞納がある状態での自己破産について、滞納分の支払いは原則として免責(免除)となりますが、現在の住居には住み続けられない可能性が高いと言えます。

例えば、数ヶ月分の家賃を滞納していても、自己破産が認められればその支払義務はなくなります。しかし、家賃の不払いは賃貸借契約の信頼関係を損なう行為であり、契約解除によって退去を求められるケースが一般的だからです。

この記事では、自己破産における滞納家賃の取り扱いや、強制退去になってしまう理由と流れについて詳しく解説します。

あわせて、連帯保証人への影響や、滞納がある状態で手続きを進める際の注意点についても紹介します。

住まいに関する不安を解消し、生活を立て直すための第一歩として、ぜひ最後まで目を通してください。

目次

自己破産すると家賃滞納分は原則免責になるので支払い不要

自己破産の手続きを行えば、滞納している家賃についても、原則として支払いが免除(免責)されます。

家賃も借入金やクレジットカードの支払いと同様に「債務」として扱われるため、法的に支払い義務をなくすことが可能です。

つまり、自己破産は借金だけでなく、住居費の未払いによって圧迫されている家計をリセットする効果があると言えます。

例えば、失業や病気で収入が途絶え、数ヶ月分の家賃が支払えずに溜まってしまった場合でも、自己破産が認められればその支払負担をゼロにできます。

ただし、すべての家賃が無条件で免除されるわけではなく、「いつ発生した家賃か」によって扱いが大きく異なる点には注意が必要です。

以下では、免責される家賃の具体的な範囲や例外、敷金がある場合の処理について詳しく解説します。

破産手続開始決定より前の滞納家賃は、原則として免責の対象

裁判所によって「破産手続開始決定」が出された日より前に発生した滞納家賃は、原則として免責の対象になります。

これは法律用語で「破産債権」と呼ばれ、消費者金融からの借金やローンの残りと同じく、支払い義務が免除される借金のグループに含まれるからです。

つまり、手続き開始日という基準日より前に溜まってしまった半年分や1年分の家賃は、自己破産によって法的に支払わなくて済むようになるということです。

具体例

毎月5万円の家賃を6ヶ月滞納して30万円の負債がある状態でも、免責許可が下りればこの30万円を支払う必要はなくなります

なお、免責が正式に決定するまでは法的な支払い義務自体は残っていますが、弁護士に依頼して受任通知を送った時点で、債権者への支払いをストップするのが一般的な実務です。

無理に返済しようとして生活費を削るのではなく、まずは弁護士のアドバイスに従って手続きの準備を進めることをおすすめします。

破産手続開始決定後の家賃は免責されない|例外が認められる場合もある

一方で、破産手続開始決定の「後」に発生する家賃については、原則として免責されずに支払い続ける必要があります。

これは「財団債権」などとして扱われ、破産手続きによる免除の対象外であり、日々の生活費として優先的に支払うべき債務とみなされるためです。

つまり、過去の滞納分はチャラになっても、これから住むための家賃はこれまで通り自分で払わなければならないということです。

例えば、破産手続き中も退去せずに同じアパートに住み続ける場合、今月分や来月分の家賃は通常通り大家さんに支払う必要があります。

ただし、破産管財人が選任される管財事件において、管財人が賃貸借契約の解除を選択した場合は、そもそも住む権利を失うため、その後の家賃が発生しないケースもあります。

ご自身のケースでいつまでの家賃が必要になるのか、事前に専門家へよく確認しておくことが大切です。

敷金がある場合、滞納家賃に充当されるのが一般的

入居時に敷金を預けている場合、滞納している家賃はまずその敷金から差し引かれる(充当される)のが一般的です。

敷金はもともと、家賃の未払いや退去時の修繕費用の発生に備えて、貸主にあらかじめ担保として預けておくお金という性質があるからです。

そのため、借主が破産するかどうかにかかわらず、未払いがあれば当然のように敷金から補填される手続きが行われます。

敷金充当の計算例

家賃10万円、敷金20万円を預けていて、滞納が15万円ある場合:

  • 敷金20万円 - 滞納15万円 = 残り5万円
  • 残りの5万円は、手元に戻るか、原状回復費用に回されます。

もし敷金で全額を賄えない場合は、不足分が「滞納家賃」として残り、前述の通り免責の対象として処理されることになります。

まずは手元の賃貸借契約書を確認し、預けている敷金の額と現在の滞納額を把握してみることから始めてみましょう。

家賃滞納中に自己破産すると多くの場合に退去(強制退去)になる

残念ながら、家賃滞納がある状態で自己破産をする場合、現在の住居からは退去せざるを得なくなる可能性が極めて高いと言えます。

自己破産によって滞納分の支払い義務がなくなったとしても、「家賃を支払わなかった」という契約違反の事実自体は消えないからです。

つまり、借金はゼロになっても、大家さんとの間の「信頼関係」までは修復できないため、契約解除による立ち退きを求められるということです。

例えば、過去に3ヶ月以上の家賃滞納がある場合、法的にも「信頼関係の破壊」が認められやすく、貸主からの契約解除が正当化されるケースがほとんどです。

ただし、家賃の滞納が一切なく、カードローンなどの借金だけを理由に自己破産する場合は、家賃を払い続けている限り住み続けられるケースが多いです。

以下では、どのような理由や権限で契約が解除され、退去に至るのかという具体的なパターンについて解説します。

貸主側が賃貸借契約を解除するパターン

最も一般的なのは、大家さんや管理会社(貸主側)が、家賃滞納を理由に賃貸借契約の解除を通告してくるパターンです。

賃貸契約書には通常、「家賃を〇ヶ月以上滞納した場合、契約を解除できる」といった条項が記載されており、これに基づいて退去が求められます。

つまり、自己破産の手続き中であるかどうかにかかわらず、単なる「家賃不払い」を理由として契約を打ち切られてしまうということです。

具体的には、内容証明郵便などで契約解除通知書が届き、「〇月〇日までに物件を明け渡してください」といった形で退去期限を指定されるのが通例です。

なお、法律上は「自己破産したこと」のみを理由とする契約解除は認められていませんが、「滞納」を理由とする解除は有効である点には注意が必要です。

通知が届いた場合の対応

通知が届いた場合は無視をせず、弁護士に相談して退去日の調整や交渉を行ってもらうことをおすすめします。

破産管財人が賃貸借契約の解除を判断するパターン

自己破産が「管財事件」として扱われる場合、裁判所から選任された破産管財人が賃貸借契約を解除することもあります。

破産管財人は、破産者の財産を管理・処分して債権者に配当する役割を持っており、賃貸契約を続けるか解除するかを決める権限を持っているからです。

つまり、本人が「住み続けたい」と願っても、管財人が「契約を解除して敷金を回収したほうが債権者の利益になる」と判断すれば、契約は終了してしまうということです。

例えば、家賃が相場よりも著しく高額な物件に住んでいる場合などは、家計再建の観点からも契約解除が選択される可能性があります。

一方で、一般的な家賃のアパートに住んでおり、生活に不可欠であると判断されれば、管財人があえて契約解除を行わないケースも少なくありません。

ご自身のケースが管財事件になりそうかどうか、事前に弁護士へ見通しを聞いておくと心の準備ができるでしょう。

退去する場合の敷金の扱いはどうなる?

強制退去や引っ越しに伴って契約が終了する場合、預けていた敷金が手元に戻ってくることは基本的にないと考えておきましょう。

戻ってくるはずの敷金は「破産者の財産」とみなされるため、滞納家賃に充当されるか、余りが出ても破産管財人に没収されるのが通常だからです。

つまり、退去時に敷金が返還される計算になっても、そのお金はあなたの新しい生活費ではなく、借金の返済(債権者への配当)に回されるということです。

具体的には、敷金から滞納分や原状回復費用を引いて数万円残ったとしても、そのお金は管財人の管理口座へ振り込まれることになります。

したがって、次の住居の初期費用や引っ越し代として、敷金の返還金をあてにする資金計画は立てるべきではありません。

引っ越し費用をどう確保するかについては、親族の援助を受けるか、法テラスの立替制度などが利用できないかを含めて検討する必要があります。

家賃以外の住居関連費用は自己破産で免責される?

家賃そのものだけでなく、住居に付随して発生するさまざまな費用についても、自己破産によって支払い義務がなくなる可能性があります。

基本的には、家賃と同様に「破産手続開始決定の前」に発生原因がある債務であれば、免責の対象として扱われるのが原則だからです。

つまり、更新料の未払いや管理費、共益費の滞納分なども、手続きを行うことでリセットできる場合が多いということです。

ただし、すべての費用が無条件で消えるわけではなく、費用の性質によっては「税金」と同じ扱いを受けて支払い義務が残るものもあります。

以下では、特に生活に直結する水道光熱費や、高額になりがちな原状回復費用の取り扱いについて解説します。

水道光熱費は免責対象になりやすい|下水道料金は例外に注意

電気代、ガス代、水道料金といった光熱費の滞納分は、破産手続開始決定前の利用分であれば、原則として免責の対象になります。

これらは民間のサービス契約に基づく対価であり、借金と同じく「私法上の債権」として扱われるためです。

したがって、数ヶ月分溜まってしまった光熱費があっても、自己破産によって支払いを免除してもらうことが可能です。

しかし、下水道料金については例外であり、多くの自治体で「公租公課(税金のようなもの)」として扱われるため、自己破産しても免責されません。

具体的には、上水道料金は免除されても、同じ請求書に含まれる下水道使用料だけは、役所から執拗に請求が続き、支払わなければならないケースがあります。

自治体によって扱いが異なる場合もあるため、滞納している納付書の内訳を確認し、弁護士に正確な判断を仰ぐことをおすすめします。

原状回復費用は「決定前・決定後」で扱いが変わる

退去時に発生する原状回復費用(修繕費)が免責されるかどうかは、退去して費用が確定したタイミングが「手続き開始の前か後か」で大きく変わります。

退去タイミングによる違い

【開始決定「前」に退去】
発生した費用は「破産債権」となり、免責の対象に含まれます。
(高額な修繕費も支払わなくて済む可能性が高い)

【開始決定「後」に退去】
発生した費用は、免責されずに全額自己負担となるケースが一般的です。

破産手続開始決定「前」に退去が完了し、原状回復費用が発生していれば、それは「破産債権」として免責の対象に含まれます。

つまり、高額なクロス張り替え費用やクリーニング代を請求されても、法的に支払わなくて済む可能性が高いということです。

一方で、破産手続開始決定「後」に住み続け、その後に退去した場合の原状回復費用は、免責されずに全額自己負担となるケースが一般的です。

例えば、管財事件などで手続き中に退去した場合、その原状回復請求権は手続き後に発生したものとみなされ、支払い義務が残ることがあります。

退去の時期を誤ると将来の負担が増える恐れがあるため、いつ引っ越すべきかについては必ず事前に担当弁護士と戦略を練るようにしましょう。

家賃滞納がある状態で自己破産する際の注意点

家賃を滞納したまま自己破産を進める場合、単に退去すればすべて解決するわけではなく、周囲への影響や生活インフラの確保に注意が必要です。

特に、連帯保証人を立てている場合や保証会社を利用している場合は、あなた自身の支払いが免除される代わりに、他者へ請求が向かうことになるからです。

つまり、自分だけが借金から解放されて終わりではなく、親族や保証会社に「肩代わり」という形で責任が移る構造になっている点には留意しなければなりません。

例えば、親御さんが連帯保証人になっている場合、あなたが自己破産をすると、滞納分の一括請求が親御さんの元へ届くことになります。

また、公営住宅の場合や水道光熱費の手続きなど、退去に向けて事前に把握しておくべきポイントもいくつか存在します。

以下では、トラブルになりやすい保証人問題や、信用情報への影響、ライフラインの手続きについて具体的に解説します。

連帯保証人がいると、請求先が保証人へ移る

賃貸借契約において連帯保証人を立てている場合、自己破産をすると、滞納している家賃の請求権はすべて連帯保証人へ移行します。

連帯保証人は、借主(あなた)と同等の重い支払い義務を負っているため、債権者である大家さんからの請求を拒否することができないからです。

つまり、あなたが自己破産で支払いを免れても、その分のツケは確実に連帯保証人である親族や知人に回ってしまうということです。

具体的には、滞納家賃だけでなく、退去時の原状回復費用や違約金なども含めた全額が、保証人に対して一括で請求されるのが一般的です。

突然の高額請求で保証人の生活まで破綻させてしまわないよう、自己破産を検討し始めた段階で、必ず誠意を持って事情を説明しておく必要があります。

もし保証人にも支払い能力がない場合は、親子そろっての債務整理(自己破産など)を検討しなければならないケースもあるため、早めの相談が不可欠です。

保証会社が代位弁済すると信用情報に影響する可能性がある

連帯保証人ではなく家賃保証会社を利用している場合、滞納分は保証会社が大家さんへ立て替え払い(代位弁済)を行いますが、これによって信用情報に傷がつく可能性があります。

特に、信販系と呼ばれるクレジットカード会社系列の保証会社を利用している場合、滞納情報は信用情報機関(いわゆるブラックリスト)に登録されるからです。

つまり、自己破産の手続きそのものだけでなく、家賃の滞納履歴によっても、将来的なクレジットカード作成やローン審査が厳しくなるということです。

信販系保証会社の例

エポスカード、オリコ、ジャックスなどが関連する保証会社の場合、家賃の遅れは「カード支払いの遅延」と同等のマイナス評価になります。

一方で、信販系以外の独立系保証会社であれば、信用情報機関への登録は行われないことが多いですが、保証会社間での情報共有(LICCなど)により、次の入居審査に通りにくくなるリスクは残ります。

次の住居を探す際は、過去にトラブルのあった保証会社やその加盟団体を避けるなど、不動産会社と相談しながら慎重に進めることをおすすめします。

公営住宅でも退去になる場合がある|困るときは役所へ相談する

県営住宅や市営住宅などの公営住宅に住んでいる場合でも、家賃滞納が続けば民間アパートと同様に契約解除と退去を求められるのが原則です。

公営住宅法などの条例に基づき、通常は3ヶ月程度の滞納で明渡し請求の対象となり、法的措置をとられることも珍しくないからです。

つまり、「役所が貸しているから多少待ってくれるだろう」という甘い考えは通用せず、公平性の観点から厳格な対応が取られるということです。

ただし、公営住宅は生活困窮者のセーフティネットとしての役割も担っているため、民間よりは柔軟に分割納付の相談や家賃減免に応じてくれる可能性があります。

退去を避けるためには、督促状を無視せず、早い段階で窓口へ出向いて「生活再建の意思があること」を伝え、納付計画を相談してみるのが有効です。

もし退去が避けられない場合でも、福祉部局と連携して転居先の支援を受けられることもあるため、諦めずに役所の担当部署へ相談に行きましょう。

ライフライン停止を防ぐため、供給会社へ事前連絡が必要

退去までの間に電気・ガス・水道などのライフラインが止められないよう、弁護士による受任通知の送付とあわせて供給会社へ連絡を入れる必要があります。

光熱費の滞納がある状態で自己破産を申告すると、電力会社などはこれ以上の損害を防ぐために供給停止の措置をとる可能性があるからです。

つまり、うかつに放置していると、引っ越しまでの期間を電気やガスが使えない状態で過ごさなければならなくなるということです。

具体的には、弁護士に依頼した後、各供給会社へ「これまでの滞納分は破産債権として扱うが、今日からの分は必ず支払うので供給を続けてほしい」と交渉します。

この申し出を行えば、過去の滞納を理由とした供給停止は法律上できないことになっているため、当面の生活インフラを確保することが可能です。

生活の基盤を守るためにも、自分一人で判断して連絡を絶つのではなく、弁護士の指示に従って適切なタイミングで連絡を入れるようにしましょう。

自己破産の申立てから退去までの大まかな流れ

実際に自己破産の手続きを始めてから、現在の住居を退去するまでには一定のプロセスがあり、即座に追い出されるわけではありません

法律に基づいた手続きが進む中で、大家さんや管理会社とのやり取りが発生し、最終的な退去日が決定される流れになるからです。

つまり、ある日突然鍵を変えられて閉め出されるようなことはなく、引っ越しの準備をするための猶予期間は少なからず残されているということです。

例えば、弁護士に依頼してから退去までは数ヶ月程度の時間がかかることが一般的であり、その間に次の住居探しや費用の工面を行うことができます。

ただし、対応を先延ばしにすると裁判沙汰になり、強制執行などの強硬手段を取られるリスクも高まるため、誠実な対応が求められます。

以下では、受任通知の送付から退去完了まで、具体的にどのようなステップで進むのかを時系列で解説します。

STEP

明渡し(引渡し)日程の調整・交渉を行う

大家さんが契約解除の意思を固めると、弁護士を通じて、または直接の書面で「建物の明渡し」を求める交渉が始まります。

ここでは、「いつまでに退去するか」という期限の合意が焦点となり、現実的に引っ越しが可能な日程を調整していくことになります。

一方的に「明日出ていけ」と言われても従う必要はありませんが、居座り続ける正当な理由もないため、1〜2ヶ月以内を目処に退去日を決めるのが一般的です。

交渉の具体例

「次の給料が入って引っ越し費用ができる〇月末まで待ってほしい」といった具体的な提案をすれば、大家さんも柔軟に応じてくれる可能性があります。

もし話し合いがまとまらなければ「明渡し訴訟」を起こされるリスクがあるため、無理のない範囲で早期の退去に応じる姿勢を見せることが重要です。

自分だけで交渉するのが怖い場合は、必ず依頼している弁護士を窓口にして、無理のない退去スケジュールを組んでもらうようにしてください。

STEP

裁判所から債権者へ通知が送付される

自己破産の申立てが裁判所で受理され、手続きの開始が決定すると、裁判所からすべての債権者(大家さんを含む)へ通知書が送付されます。

これにより、大家さんはあなたの自己破産を公的に知ることとなり、滞納家賃の回収が不可能になったことを正式に認識します。

つまり、これまでは「いつ払ってくれるのか」という催促だったものが、ここからは「いつ出て行ってくれるのか」という明け渡しの話へと切り替わるということです。

この通知が届く段階では、すでに弁護士による受任通知(介入通知)も届いているはずなので、直接あなたへの取り立てが行われることはありません。

債権者としての権利行使が制限されるため、大家さんも法的な手続きに則って対応せざるを得ず、不当な嫌がらせを受ける心配も基本的にはありません。

安心して手続きを進めるためにも、裁判所からの通知がスムーズに届くよう、債権者一覧表への記載漏れがないか入念にチェックしましょう。

STEP

賃貸物件から退去(引っ越し)する

退去日が決まったら、その期日までに荷物をまとめて引っ越しを行い、部屋を空っぽの状態にして鍵を返却します。

これが「明渡し」の完了であり、これをもって現在の賃貸借契約に関するトラブルはひとまず収束することになります。

退去時には通常、部屋の状況確認(立ち会い)が行われますが、原状回復費用を請求されても「破産手続きに含める」と伝えれば、その場での支払いは不要です。

立ち会い時の対応例

壁紙の汚れや床の傷などを指摘されても、サインだけして「弁護士を通じて対応します」と答えれば問題ありません。

なお、夜逃げのように勝手に出て行ってしまうと、残置物の処分費用などでかえって迷惑をかけ、免責不許可事由に問われる恐れもあります。

立つ鳥跡を濁さずの精神で、最後まで誠実に手続きを行い、鍵の返却までしっかりと完了させることをおすすめします。

家賃滞納と自己破産に関するよくある質問

家賃滞納を抱えての自己破産には複雑なルールが多く、判断を誤ると手続きそのものに支障をきたす恐れがあります。

特に、「払ってはいけないタイミング」や「申告すべき情報」を間違えると、最悪の場合、借金が免除されない事態にもなりかねません。

ここでは、多くの人が迷いやすいポイントについて、Q&A形式でわかりやすく解説します。

正しい知識を持っておくことで、予期せぬトラブルを防ぎ、スムーズに生活再建へと進むことができるでしょう。

以下では、手続き中の支払いや告知義務など、実務でよくある5つの疑問にお答えします。

自己破産の手続き中に滞納家賃を支払っても問題ない?

自己破産の準備期間中や手続き中に、滞納している過去の家賃を支払うことは、「偏頗弁済(へんぱべんさい)」として禁止されています。

偏頗弁済とは、特定の債権者(この場合は大家さん)だけを特別扱いして返済する行為で、他の債権者との平等を害するとみなされるからです。

つまり、「家を追い出されたくないから」といってコッソリ家賃を払ってしまうと、それが原因で自己破産自体が失敗する可能性があるということです。

例えば、消費者金融への返済は止めているのに、大家さんにだけ滞納分20万円を振り込んだ場合、管財人からその返還を求められるなどのペナルティが発生します。

良かれと思ってやったことが命取りになるため、弁護士から「支払いストップ」の指示が出たら、絶対に自己判断で支払わないよう注意してください。

どうしても支払いたい事情がある場合は、必ず事前に弁護士へ相談し、法的に問題ない方法がないかを確認することをおすすめします。

家賃を滞納していない場合、手続き中も家賃の支払いはできる?

過去の滞納が一切なく、毎月の家賃を遅れずに支払っている状態であれば、自己破産の手続き中であっても支払いを継続して問題ありません

これは、過去の借金(破産債権)を返す行為ではなく、日々の生活に必要な「家賃」という対価を支払う行為であり、生活費の支出として認められるからです。

つまり、滞納さえしていなければ、自己破産をしたからといって必ずしも退去する必要はなく、そのまま今の家に住み続けられる可能性が高いということです。

例えば、借金の原因が浪費であっても、家賃だけは毎月きちんと払っていたのであれば、大家さんから契約解除を言い渡される法的な理由はありません。

ただし、家賃が収入に見合わないほど高額な場合は、生活再建のために安い物件への転居を指導されるケースもあります。

住み続けられるかどうか不安な場合は、家計収支表を弁護士に見せ、現在の家賃が適正範囲内かどうか診断してもらうと良いでしょう。

自己破産の申立てで家賃滞納を申告せずに進められる?

家賃の滞納があるにもかかわらず、それを隠して(申告せずに)自己破産の手続きを進めることは絶対にできません

すべての債権者を裁判所へ届け出る義務があり、意図的に隠すと「虚偽の申告」として免責が認められなくなる(免責不許可事由)リスクがあるからです。

つまり、「家を守りたいから家賃の滞納だけは黙っておこう」という工作は通用せず、バレた時の代償が大きすぎるということです。

具体的には、通帳の履歴や家計簿の提出によって家賃の支払い状況は必ずチェックされるため、滞納の事実は隠し通せるものではありません。

また、隠していたことが後で発覚すると、協力してくれていた弁護士からも辞任されてしまう可能性があります。

不利な事実であっても包み隠さず弁護士に伝え、正攻法で解決策を探ることが、結果的に自分を守る一番の近道だと言えるでしょう。

転居先の貸主へ自己破産の事実を伝える必要はある?

新しい転居先を探す際、貸主や不動産会社に対して、自ら進んで自己破産の事実を伝える法的義務はありません。

入居審査で問われるのはあくまで「現在、支払い能力があるかどうか」であり、過去の経歴を事細かに報告する必要まではないからです。

つまり、申込書に自己破産の有無を問う欄がなければ、聞かれてもいないことをわざわざ自分からカミングアウトする必要はないということです。

ただし、入居申込書に質問項目がある場合に嘘をついて「なし」と書くと、告知義務違反として契約解除の原因になるため注意が必要です。

また、信販系の家賃保証会社を利用する場合、自己破産の履歴が信用情報機関を通じて知られてしまい、審査に落ちることで事実上バレてしまうケースもあります。

審査が不安な場合は、正直に事情を話した上で、自己破産者でも受け入れてくれる理解ある大家さんや保証会社を紹介してもらうのが最も確実な方法です。

自己破産後も今の賃貸に住み続ける方法はある?

家賃滞納がある場合は原則退去となりますが、例外的に「第三者弁済」を行い、大家さんの合意が得られれば住み続けられる可能性もゼロではありません。

第三者弁済とは、親族などの第三者が、破産者(あなた)の代わりに滞納家賃を肩代わりして支払う方法です。

これにより滞納が解消されれば、契約解除の理由はなくなるため、大家さんが納得してくれるならば契約を継続できる余地が生まれます。

ただし、これを破産者の財産を使って行うと偏頗弁済になりますし、管財人が契約解除を選択すれば、滞納がなくなっても退去になる場合があります。

非常にハードルの高い例外的な措置であるため、自己判断で親に頼んで支払ってもらう前に、必ず担当弁護士に実現可能性を確認してください。

基本的には「退去して生活をリセットする」のが自己破産の原則であると考え、無理に住み続けることに固執しすぎない柔軟さも必要です。

まとめ

家賃滞納がある状態での自己破産は、滞納分の支払い義務が免除されるという大きなメリットがある反面、現在の住まいからの退去は避けられないのが現実です。

借金をゼロにして生活を立て直すためには、一度住居をリセットし、身の丈に合った新しい環境で再出発することが不可欠だからです。

退去に伴う不安は尽きないと思いますが、破産手続きには一定の時間がかかるため、その期間を利用して次の住まいや費用の準備を整えることは十分に可能です。

また、連帯保証人への影響やライフラインの確保など、事前に手を打っておくべき課題も多いため、一人で抱え込まずに専門家の力を借りることが成功の鍵となります。

この記事のまとめ
  • 自己破産すれば滞納家賃は原則チャラになる
  • ただし、信頼関係の破壊により退去は避けられない
  • 連帯保証人への請求リスクに注意が必要
  • 一人で悩まず、弁護士へ相談して退去日を調整すべき

弁護士に相談すれば、督促を止められるだけでなく、退去日の交渉や生活保護申請のサポートなど、生活再建に向けた具体的なアドバイスをもらうことができます。

今の苦しい状況から抜け出し、安心して眠れる毎日を取り戻すためにも、まずは無料相談などを利用して第一歩を踏み出してみてください。

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